僕の旅はまだまだ続く

ハーレーを中心とした旅の記録

長崎・福岡旅1日目_平戸を目指して

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【本日のルート】

8月12日(月)

朝4時、一人起き出し、シャワーを浴び、ジーンズにTシャツ、ショットのWの革ジャンを羽織る。ガレージからバイクを引っ張り出す。
まだ、真っ暗な闇の中。東の空に、オリオン座が低く光っている。

家族は誰も起きてこない。
バイクにまたがり、静かに出発。

通りにほとんど車はなく、水の手橋の交差点の信号機もまだ赤点滅。

人吉ICから高速に乗る。
革ジャンを着ることは随分迷ったが、
まだ、この時間、ちょうどいい。Tシャツ一枚では寒い。
朝の濃い冷たい空気が気持ちいい。

肥後トンネルを越えたあたりで、山の稜線と空の境が分かるくらいに夜が明けてきた。
真っ暗な山のシルエットとグレーの空。
そのグレーの空が次第に、明るく薄いブルーに色を変えていく。
明るく薄いブルーの空に浮かぶ雲はオレンジ色の光を帯びている。

湘南爆走族で言うところの「紫のハイウェイ」だ。
もうすぐ夜が明ける。

氷川を越えたあたりで、輝くようなオレンジ色の光が山の際から登ってきた。
ほとんどマイウェイ状態の高速道路が紫色に染まる。

空気が少しずつ暖まるのを感じる。
光の中、どこまでも走れそうな気がする。


松橋ICで降り、3号線バイパスから57号線を熊本港を目指し北上する。
朝日が昇り始める。
まぶしく光る朝日が、あたりの風景を黄金色に染める。

6時10分、港に到着。
ターミナルで島原行のチケットを買い、島原のパンフレットをもらう。

朝日が昇ると一気に気温が上がり始めたようで、革ジャンを着た体が汗ばむ。
ラジオ体操をしていた夏の朝だ。

さあ、夏の一日がはじまる。

車が乗り込んだ後、最後にオートバイが案内され、フェリーの中に入る。
もあっとした空気の中、バイクを停める。
係員がタイヤの前後に車止めをはめ、ロープで車体を固定する。

階段を上がり、船室に入ると、クーラーがキンキンに入っており、汗ばんだ体を急速に冷やしてくれた。
朝食替わりのメロンパンを食べながら、しばらく涼んだあと、後方のデッキにでた。

フェリーの軌跡がキラキラ光っている。
革ジャンを脱ぎ、ベンチに座って海を眺める。

波のない穏やかな青い海、
澄み渡るライトブルーの空、
うすく刷毛で一塗したような雲が白く流れていく。
前方には普賢岳が少しずつ大きくなって見える。

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フェリーから島原を望む

風が気持ちいい。

予定通り、8時に島原港に到着。
日差しがもうすでにギラギラしている。
港の前のパームツリーがすごく南九州という感じだ。

港の前の交差点の案内板にしたがって島原城を目指して走り出す。

島原城自体は24時間で開いているようで、いわゆる本丸までオートバイで入ることができた。
天守閣の真下の駐車場にオートバイを停め、天守閣を見上げる。
復元城であるが、五層の確かに大きい城だ。

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島原城

ただ、天守閣見学は9時からということで、まだしばらく時間がある。
しかたないので、本丸を見学し、日陰のベンチで横になってひと眠りすることに。

日陰は涼しく、セミの鳴き声を聞きながらあっという間に寝てしまった。

目を覚ますと9時を過ぎていて、天守閣を見上げると、最上階にすでに人がいる。
入場料540円。
中は、他の復元城と同じように、歴史博物館的な展示がされていた。
特に島原城は、長崎らしくキリスト教関係の遺物が多数展示されていた。
やはり、これは原城にも行くべきか。

天守閣最上階、展望所からの眺めは素晴らしかった。
眼下には、、島原の街並みが広がり、背後には普賢岳がすぐ近くにそびえ、目の前には、キラキラ光る穏やかな有明海が広がっている。
対岸の熊本市と天草の島々がすぐ近くに見える。
島原からは熊本はこんな風に見えるのか。
普賢岳の江戸時代の噴火を表現した言葉で、「島原大変、肥後迷惑」というのがあるが、
本当に両者は近いんだというのを実感する。

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天守閣から有明海の向こう、熊本を眺める

島原城を後に、原城を目指し、島原半島を南下することに。
途中、がんばるロードというバイパスを走る。
この道が気持ちいいのなんので、右手にたけだけしい普賢岳、左手にキラキラ光る有明海、道はひたすら真っすぐで、空には青い空。
最高に気持ちいい道路。


国道251号線をさらに南下、南島原市のあたりは島原そうめん製麺所が数多く立ち並ぶ。
天草の島々が海を挟んでほんの近くに見える。

天草と島原でキリシタン一揆が行われたのもうなずける。こんなに近いんだ。
一揆の計画について話し合ったという談合島「湯島」がすぐ近くに見える。

原城跡は、南島原市の海のすぐそばの岡の上にあった。史跡なのだろうと思うが、駐車場と原城跡が500m以上離れていて、
しかも岡の上だし、暑いしでかなり難儀したが、一揆のあと、徹底的に破壊された城跡は、生々しい感じすらするすごい城跡であった。

ここで約400年前に行われた一揆の様子を想像する。天草四郎居城跡なんていう場所から眼下の海と向かいの天草の群島を見ると、
その戦いの悲惨さを思わずにはいられない。
空の青さと海の輝きがよけい、歴史の残酷さを際立たたせている。

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原城跡 兵どもが夢のあと

原城跡を出て、雲仙を通って、小浜温泉に出る。
雲仙の山を裾を抜け、海が目前に見えた時の美しさは素晴らしい開放感である。
海の向こうに長崎の街がかすかに見える。

小浜温泉オバマ大統領の時に一生懸命キャンペーンをやっていたが、
相変わらず多くの観光客でにぎわっているようだ。

小浜温泉を向け、諫早市を目指す。
日差しがどんどん強くなる。
諫早市にようやく入ったところのコンビニで休憩。
ペットボトルの麦茶を一気に飲み干し、クーリッシュでクールダウンを図る。

諫早市には予備校の時、仲良かったジローさんの故郷だ。
学生の頃、彼の実家に泊めてもらったことがある。
僕のオートバイに二人乗りして、一緒に長崎市稲佐山に登ったことを思い出す。
ジローさんは今、どうしてるんだろう。

そんなことを考えながら、諫早市を抜け、大村市を通過する。
もう暑くて仕方ない。
大村市のコンビニで再度クールダウン。
今回は、ガリガリ君でクールダウンを図る。

さらに、佐世保を目指し、北上。
やっぱり暑い、もうダメというあたりで、ハウステンボスが見えてきた。
ANAの巨大なホテルを眺めながら、ああ、今チェックインして、クーラーのガンガン聞いた部屋の、糊のきいたパリッとしたベッドに
飛び込めたら、どんなに気持ちいいだろうなんて想像する。

 

そんなことを考えながら、またしてもコンビニで休憩。
ペットボトルの水を一気飲み。
そして、とうとう我慢できず、革ジャンを脱ぐ。
禁断のTシャツ一枚になる。

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ハウステンボスの見えるコンビニで革ジャンを脱ぐ

ただ、これはのどが渇いた漂流者が海水を飲んでしまうようなものだ。
Tシャツで走るのは確かに気持ちいいが、やけどに近い日焼けすることは確定だ。

Tシャツ一枚で走り出す。
ああ、気持ちいい。

佐世保の街中に入ると、ジャパネットのビルがあちこちにある。
ここが本拠地なんだよな。
あの社長もこの町に住んでいるのかな。

街中は車も多く、日差しがじりじりと皮膚を焼くようだ。
ようやく駅前につき、適当に佐世保バーガーの店を探す。

事前にはなにも探していない。
多分駅前とかアーケードの近くにはあるのかなぐらいで、ぐるぐる走ると、「Big Man本店」というハンバーガーを発見。
狭いそうな店の前に長蛇の列。
たぶん人気店、発見である。
別に人気店でなくてもよかったのだが、仕方ない。
また探すのも面倒だ。
まあ、ハンバーガーだからそんな待たないだろうということで、オートバイを歩道の脇に停め、列にならぶことに。

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佐世保の街 Big Man本店横

30分ぐらい並んで、名物ベーコンエッグバーガーを購入。
交通整理の警備の人に、ここから平戸までの行き方を訊くと、途中まで西九州道の無料区間があるからそれを使うといいということだった。
そこまでの行き方も教えてもらい、西九州道に入る。

途中、道の駅があり、そこで名物ベーコンエッグバーガーを食す。

無料区間が終わったたとは、一般道に戻り、平戸を目指して北上するが、山間の道であまり走りやすくなく、なにより日差しがきつい。
午後のこの時間の日差しは本当に疲れる。

16時すぎにようやく西海橋を通過。
平戸の町が見えてくる。

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西海橋を渡り、平戸上陸

山の上に、小さく天守閣が見えた。
ああ、平戸に着いたなあと実感する。

平戸城こちらという案内板があったが、どこか山門を登る入口のようだが、駐車場が見つからない。
他のの登り口もあるとは思うが、もうこの時はくたくたで、他を探す余裕がなく、すぐそばの市役所の有料駐車場にオートバイを停め、山門を登った。
蝉時雨がすごい。
夏の午後であることを痛烈に意識する。

そして、その蝉時雨の中、平戸城を目指して、ひたすら階段を上っている今の自分が不思議とすら感じる。

 

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平戸城

階段を上がり、三の丸に出ると、すぐ横に、三の丸駐車場というのがあった。残念!
本丸に上る階段の脇に、料金所があり、410円を払い、天守に登る。

復元城だから中は、歴史博物館ではあるのだが、やはりここまで来たからには天守閣には入りたいし、最上階からの眺めを見てみたい。
大陸との歴史や交易のことが詳しく紹介されていた。

最上階からは平戸の海や街並みが見渡せた。
穏やかな海であり、ここから大陸に向けて遣唐使が出発したのかと古の昔に思いをはせる。

お城から降りて駐車城に戻る。
夕方近くの日差しが強い。

近くのガソリンスタンドで早めの給油をする。
「平戸って人口どれくらいいるんですか」と店員のおじさんに尋ねると、
「3万人ちょい、ですかね。過疎化が激しくて」となんだか恥ずかしそうに教えてくれた。なるほど、人吉と同じぐらいか。

お城の下には港があり、その周りには土産物屋やホテル、旅館が軒を連ねている。
オートバイでそこをゆっくり走りながら、まわりの風景を眺める。

夕暮れの西海橋を渡り、今日の宿泊予定地である旧田平町の中瀬草原キャンプ場を目指す。
佐世保ハンバーガー待ちの間にネットで探したキャンプ場である。
ネットの情報では要予約となっており、管理人が常駐するような立派なキャンプ場なんだろうなあと思っていたら、ただの海沿いの高台の草っぱらだった。

トイレはあるみたいだが、見渡す限り草っぱらである。
目の前にはただ海が広がっている。
西の空に夕日が写り、黄金色の光で島影を染め上げている。
いい風景だ。
すでに、何組かのキャンパーがテントを張っている。
ソロが4組、ファミリーキャンパーも1組いるが、とても静かで、非常に望ましい。

一番海側にテントを張り、他のキャンパーを視界に入れないようにし、一人この草っぱらにいることにする。

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海の見える草っぱらのキャンプ場

テントに潜り込むと、目の前には夕暮れに染まる海だけが見える。
いい感じである。

テントができたら、次は買い出しだ。
オートバイで西海橋付近まで戻り、スーパーを探したが見つからず、途中にあったコンビニで、おにぎりと焼きそば、ビールを買い込み、テントに戻る。


東シナ海の海に沈む夕日を眺めながらビールを飲む。
西の空が黄金色に染まる。

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テントからの眺め 東シナ海に沈む夕日 

心地よい風が吹く。

一息つき、バーナーでお湯を沸かし、焼きそばを食べる。
蚊がわんわんまわりを飛び回る。
堪らずテントに潜り込む。

 

向かいの島で花火が打ち上がる。