僕の旅はまだまだ続く

ハーレーを中心とした旅の記録

長崎・福岡旅2日目~名護屋城・大野城へ~

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【本日のルート】


8月13日(火)

朝6時に目を覚ます。
テントの中から、朝焼けに染まる東シナ海が見える。
うすい桃色の空と濃く静かな海だ。

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朝の中瀬草原キャンプ場

汗びっしょりだ。
昨夜は暑く、暑くて堪らず、夜中何度も目を覚ました。
おまけに蚊が何匹かテントの中に入り込み、うるさくして仕方なかった。
あんまりうるさいので、ヘッドライトを点け、蚊を手でたたくと、手にべっとりと血糊が付いた。
寝苦しい夜だった。

ようやく気温が下がったと感じたのは明け方4時すぎだったろうか。

テントの外でバーナーでお湯を沸かし、コーヒーを飲む。
その間中、蚊がわんわん飛び回る。

やはり夏のキャンプはよろしくない。
逃げるように急ぎ撤収。

駐車場で、多摩ナンバーのソロライダーから
「どこからですか?」と話しかけられた。
「熊本です」と答えると、
「ああ、地元ですね}と言われた。
随分、大きな括りをする人だ。
まあ、関東から見たら、九州という括りになるのかなぁ。

中瀬草原キャンプ場から名護屋城を目指し、国道204号を北上。
途中、松浦鉄道と並走。
1両だけのイモムシ電車とすれ違う。

海沿いに松浦火力発電所の大きな施設が見える。

途中、松浦市のコンビニで、おにぎりを2つ購入。朝食とする。
お金を払う際に、レジのおじさんに名護屋城までのルートを教えてもらう。

コンビニの駐車場でおにぎりを食べながら、スマホで教えてもらったルートを確認し、出発。
真っ青な海と空の間の湾岸ロードを伊万里市を目指し走る。

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素晴らしい青の、空と海の間をひた走る

途中、大きな橋を渡り、伊万里市街をパスし、さらに204号を名護屋城を目指し北上する。

次第に道は山道になり、これが本当に国道か?と思うような道になる。
暑い。山陰でしばし休憩。

さらに走ると、やがて、眼下に海が見え始めた。
唐津湾だろう。
呼子がもうすぐのようだ。
しばらく走ると名護屋城への案内板が出はじめた。

随分前に一度来たことがあるのだが、名護屋城の記憶が全然ない。
新鮮な気分で駐車場にオートバイを停める。

案内受付というところで、環境保全の協力金ということで100円を払い、入場。

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名護屋城


さすが太閤秀吉の城である。石垣しか残っていないが、大きい。
400年前、全国の大名がここに集結し、朝鮮出兵に備えたのだ。

じりじりする日差しの中、
緑の木々がその枝と葉をつややかに輝かせ、蝉の鳴き声が、真っ青な空に吸い込まれていく。

三の丸は大きな大木の森となっており、崩れた大きな石垣が無造作に転がっている。
兵どもが夢のあと、である。
400年前、秀吉はここで何を考え、大名や兵は何を思ったのだろう。

本丸に登り、天守閣跡に上がると、玄海湾が一望できた。
真っ青な青空に真っ青な海が続く。
島々の間を抜くように積乱雲が沸き起こっている。
案内板にここから見える島の名前が記されている。
あれが対馬、その横が壱岐という具合だ。
ここが当時の大陸との最前線であったことを改めて感じる。

確かに歴史上稀な城だ。

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名護屋城 本丸跡 海の向こうは朝鮮半島

名護屋城を10:30に出発。
ここからは福岡、長浜を目指す。
呼子イカも気になるが、やはり長浜ラーメンだ。

まずは、遥か福岡の街を目指し、唐津市へ南下する。
暑い。

Tシャツのままの腕がもう真っ赤になっている。
唇も日焼けして、痛くなってきた。

西九州道(無料区間)という案内板があり、それに躊躇なく乗る。

目の前にはまっすぐな道と真っ青な空に沸き立つ積乱雲、左手には唐津湾の空と同じくらい真っ青な海が、松林の向こうに見える。
頭の中では、奥田民生のイージューライダーが流れる。

無料区間だからすぐ終わるのかと思ったら、意外にもずっと福岡市まで続いていた。
高速ではないらしく、途中にコンビニやガソリンスタンドがある。
あまりにも暑くて、コンビニにより、イートインで麦茶を飲み、ガリガリ君を食べてクールダウン。

イーインでこの先のルートをグーグルマップで確認すると、この先、前原東で一旦無料区間は終了し、有料区間になり、
160円で今宿まで行けるらしい。そこから先、百道まで行くと、今度は福岡都市高速に接続することになるらしく
さらに有料になるようだ。
ならば、今宿で降りて、福岡の街を走り、懐かしの青春時代を過ごした西新の街を通って長浜に行くのも悪くないということで、
160円を払ってさらに今宿まで行き、下道に降りる。

下道に降りると、先ほどまで走っていた西九州道都市高速道路と接続して、高架線として頭上をずっと福岡方面に
繋がっている。
福岡もずいぶん都会になったもんだ。
30年前はこの辺は、福岡の端っこという印象しかない。
これじゃ、東京の環八、環七の下の風景と同じだ。
車も多いし。

とはいうものの、走りながら眺める福岡西区の風景にはやはり懐かしさが残り、きょろきょろしながら245号線を走る。
ただ、早良区に入ったあたりから、周りの風景がまったく記憶にないぐらい変わってしまっていた。
荒江四つ角付近からはもう全然記憶の街とは違っている。

驚きながら、荒江四つ角を西新に向け、左折する。
30年前、このあたりに住んでいたのだ。
やはり記憶にある建物や店は全くない。
もう随分時間が過ぎたのだということを実感する。

西新の脇山口交差点でもあの当時から残っているのはベスト電器ぐらいではないのか。
ビブレもない、居酒屋じゃがいもも見当たらない。

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懐かしの西新 脇山口交差点

感傷に浸りつつ、交差点を右折し、明治通りを天神に向け走る。
しばらくして長浜家に到着。

前回、5月に来た時と同様に従業員駐輪場にバイクを停め、中に入り、カタを注文。
今日はなんだかスープが薄い。
はずれだが、これが長浜らしさだ。OKである。

ラーメンを食べ終え、さあ、いよいよ今回の旅の最後の目的地、大野城跡を目指す。
3号線を南下し、大野城市の手前から左折し、宇美町に入る。

宇美町のコンビニでグーグルマップで確認したものの、見事に迷い、しばらくうろうろして、
山のくねくね道を登り、谷川を越え、ようやく山の中腹あたりで、大野城跡の案内板に到着。

ただ、到着というものの、ここは天王寺山全体が城郭であり、その遺構である石垣がところどころに見られるという城跡だ。
ただその規模は大きく、大野城市宇美町太宰府市にまたがり、しかも飛鳥時代1350年前の古代城なのだ。

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大野城跡 百閒石垣下

オートバイを谷川の脇に停め、百間石垣を登り、ずっと石垣が続くことを確認する。
眼下の谷川のせせらぎが太陽に反射してキラキラ光る。
周りには誰もいない。
誰もいない山の中で、エンジニアブーツ野郎が石垣に一人登っている。

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石垣の一部を歩く

このまま、オートバイで山頂まで登り、太宰府市に出ることにし、くねくね道をさらに登る。
途中、大宰府の街が一望できる場所で、しばらく街を眺める。
ずっと下に九州国立博物館が見える。
この崖に沿って、大野城の城郭は続いているようだ。
ここを境に、ずっと下り道になり、しばらく走ると太宰府天満宮のすぐわきの道路に出た。

出たのはいいが、さすが超人気スポット、太宰府天満宮だ。いきなり超渋滞にはまった。
静かな涼しい山中からいきなり、こんな観光地の渋滞に巻き込まれ、暑くて、うるさくて、気が狂いそうになる。

ヘロヘロになりながら、ようやく渋滞を抜け、五条という交差点にあるコンビニにオートバイを停め、
麦茶を購入。一気に650mlのペットボトルを飲み干す。
ふーっである。
あやうく、干からびるところだった。
ホント、そんな感じだった。
暑い、ホント暑い。
午後になって、ますます暑い。
日差しがぎらぎら照り付ける。

冗談抜きに、むき出しにした腕がジュウジュウ、音を立てて焼けるようだ。

五条交差点から〇号線を経由して、福岡バイバスに乗り、ようやく大宰府を脱出。
渋滞から抜け出して、スピードを出して走れることで、少し気持ちが落ち着く。

ガソリンスタンドに入ると、若い店員が、
「うあ、真っ赤ですね、それ今日一日でですか?」とオーバーに話しかけてきたが、
こちらは暑くていらいらしていて「二日!」とぶっきらぼうに答えてしまった。

店員はそうした空気を察したのか、それ以上は話しかけてこなかった。
申し訳ない。
それぐらい、暑いのだ。
許してくれたまえだ。

満タンにして、しばらく走り、鳥栖に入ったところで、またもコンビニに入り、
今度は炭酸水を購入。
これだけ、水分をとっているのに、朝から全然尿意は催さない。

もう腕が鉄板に載せられた牛カルビみたいに真っ赤に焼けていたいのなんので、ここで仕方なく革ジャンを羽織る。
革ジャンを羽織った腕が、皮と擦れてチクチクする。
おまけに、革ジャンが風を通さないから、さらに暑い。

暑いが痛いよりいい。

鳥栖ICから九州高速道路に乗る。
盆で多いかなと思ったが、それほどではなく、順調に南下。

走り出すといくらか暑さはスピードでやわらぐものの、今後は腰がいたくなり、山川SAで小休止。
木陰でまたも麦茶を飲む。

さらに、熊本北ICでも小休止。
このあたりから少し、雲が見えはじめ、ぎらぎらする太陽も幾分か落ち着きを取り戻してくれたようで、一気に南下する。

あと少しとは思いながら、坂本SAで芝生に寝っ転がり、15分ほど休憩。

あと少し、用心、用心とつぶやきながら、ようやく人吉ICに到着。

一日ぶりに眺める街並みではあるが、
突然、映画「スタンドバイミー」のラストシーンの朝、二人がそれぞれの自宅に帰るシーンを思い出した。

映画のように、エポックメイキング的なことは何も起きなかったし、のちのち自分自身に何か影響を与えるようなことも何もない、たった一泊二日のオートバイ旅ではあるが、唐突にあのシーンが頭に浮かんだ。

17:30無事、到着。
やはり、日焼け止めを塗るべきであった・・・。