僕の旅はまだまだ続く

ハーレーを中心とした旅の記録

大雨と大風の中で~1日目~

本日のルート

10月7日(土)くもり

すっかり秋めいた涼しい朝の空気の残る中、朝10時に人吉を出発。

空は曇ってはいるものの、雨が降りだすような気配はない。

ガソリンスタンドで、ハイオクを満タンにし、まずはえびの市を目指す。
山の中に入ると、少し肌寒く感じるが、ライダースを羽織ることもなし。
ネルシャツで十分。

ループ橋をぐるぐる回り、加久藤トンネルを抜けると、目の前に韓国岳をはじめ、霧島連山が見える。霧島の山々にも雲はなく、きれいな山容が一望である。

山を下り、えびの市から湧水町へルートをとり、黄金色に色付き始めた田んぼを眺めながら、ひたすら南下する。

空からは、太陽の光が見え始めた。オートバイに乗っていると、太陽の陽が差すと、一気に気温が上がるのが分かる。肌に当たる風の匂いや肌触りも変わるのも感じる。

秋空高し、気持ち晴れる午後。
風に、黄金色の稲穂がそよぐ。

姶良の手前のコンビニで休憩。ルート確認。コーヒーを飲む。

コンビニの駐車場でコーヒーを飲む もうすぐ桜島

姶良の坂を下ると、姶良の町の向こうに、大きな桜島がいきなり顔を出す。
鹿児島だ。
桜島を見ると、隣の熊本から来ても、南国に来たなぁと感じる。

桜島を見る度に、幕末の志士、平野国臣の“わが胸の 燃ゆる思いに くらぶれば 煙はうすし 桜島山”の名言を思い出す。
確かに桜島にはそんなことを思わせる力があるような気がする。

姶良の町を抜け、大隅半島に入る。
隼人の町を走り、海沿いの道を、桜島を右手に見ながら走る。

曇っていて、桜島の煙もかすんでいるが、寒くはなく、雨も降りだしそうな気配もない。なんとか天気はもちそうだ。

それにしても、思ったよりも遠い。

海沿いの道は、晴れていれば、さぞかしよい風景だろう。
車も少なく、自分のペースでアクセルをひねり、マイロード状態。

曇天の向こうに見える桜島

垂水で桜島を真横にすり抜け、錦江町に入る。
錦江湾の向こうには、開聞岳がぼんやり見える。
海には、鯛の生け簀がたくさん浮かんでいる。波一つない静かな海だ。

ここらあたりから、なんだか空模様が怪しくなる。
雲が次第に厚くなり、空は暗く、雨が今にも降りそうな気配である。

急ぎ、交通量の少ない国道をひたすら南下し、大根占の町に入る。
この先は、もう南大隅町のAコープしかスーパーがないようだ。
ここで比較的大きなスーパーを見つけ、ここで食料を買うことにする。

多分、明日は雨だ。一日中、テントに閉じ込めらるだろう。
ここが今回最後の食料購入のチャンスだ。

袋ラーメン2つ、カップ焼きそば1つ、食パン1袋、ウインナー1袋、柿の種1袋、ウイスキー1瓶、ミネラルウォーター2リットルを購入する。

ビールは、冷えたやつを南大隅町のAコープで購入しよう。

スーパーの隣のガソリンスタンドで、ハイオクを満タンにして、右手に開聞岳を望みつつ、さらに南下。

やがて南大隅町に入る。

今回、この町に来たのは、Amazon Prime Viedoで見た「きばりゃんせ、私」という映画の影響が大きい。女優の波留が主演の映画で、南大隅町を舞台にしている。世間的には酷評みたいだったが、自分的にはなかなか面白く、舞台になった南大隅町に行ってみたくなったというのが今回のツアーの一番の動機である。

なにしろ、今回、宿泊しようと思っているのキャンプ場は、舞台となったホテルの真下にあるのだ。楽しみである。

天気がやばくなってきたあたり 周りの木々がすでに亜熱帯 

南大隅町に入ると、交差点で、母親と一緒の小さい男の子が、手を振ってくれた。こういうのは、バイクに乗っていて、何気にうれしい瞬間の一つである。

子どものバイカーに対するピュアなイメージは壊したくないものである。笑顔で手を振り返す。

海岸線を離れ、道は山へ向かう。
とうとう雨がぽつりぽつり降り出す。
やばいなあと思いつつも、いやいや一時的なものだと自分に言い聞かせ、進む。

トンネルをいくつか越えると、やがて、大隅町のAコープが見えてきたが、思っていたとおり小さい。大根占で買い物をして正解だったなぁと思いつつ、ここでビールを買おうと思っていたが、ここから、佐多岬まで、まだ17kmもある。

佐多岬に寄って、それからキャンプ場に向かうとすると、まだまだずいぶん時間がかかる。それではビールが温くなる。

温いビールは、飲みたくない。ならば、佐多岬に行って、キャンプ場でテントを張って、もう一度ここまで来て、ビールを買えば、冷え冷えのビールがキャンプサイトで、夕暮れの海を眺めながら飲めるはず。

ということで、Aコープはスルー。

佐多岬を目指すが、すぐに雨足がどんどん強くなり、やがて本降り状態になる。
こうなると、佐多岬どころではなく、取り急ぎキャンプ場を目指す。

びしょ濡れになりながら走る。九州最南端の町と言っても、10月の雨はやはり冷たい。しばらく走ると、やがて、「きばりゃんせ、私」にでてきたのとおんなじホテルが見えた。

そこからは、キャンプ場はすぐ下で、すでに1組の車の3人組キャンパーがいた。
他は誰もいないようだ。
まあ、これから3日間雨予報だし、そうだよなあと思う。

こんな日にキャンプをしようという方がおかしいのだろう。

急いでバイクを止め、3人組キャンパーから少し離れた場所に、びしょ濡れになりながらテントを張る。

これから降り出すだろう雨に備え、松の木の下に張る。


テントを張る間も、雨は次第に強くなり、テントに逃げ込むように潜り込んだ。

今回のテントサイト 松の木で バイクと一緒

目の前は海で、テントサイトも、ネットで見たように確かに芝生で悪くはないが、海岸が汚い。ゴミばかりだ。オフシーズンだからか、天気が悪いからか、恐ろしくうら寂しい風景である。

まだ4時までだが、あたりは薄暗く、風も強くなってきた。
バイクをテントの横に寄せ、グランドシートで、バイクとテントを覆う。
テントに潜り込むと、今更、佐多岬という気分ではない。

残念ながら、今からずぶ濡れになりながら、Aコープにビールを買いに行くというのも現実的ではない。

痛恨の判断ミスである。残念。

スマホで確認しても、もうずっと雨である。
これから、もうひたすらテントに籠るしかない。

風がだんだん強くなる。グランドシートがバタバタ音を立てながら、風に煽られている。
寝袋に包まり、さっそくウイスキーを飲む。
最初は、ビールのはずなのに。
返す返す残念。柿の種をかじり、ウイスキーをぐびり。

今日の夕食 ウイスキーとさつま揚げ

外は薄暗い夕方。
ヘッドライトをつけ、持ってきた文庫本を読む。

雨はますます強くなる。
陽が暮れる。
海はごうごうとうなりを立てている。
風でテントが左右に大きくきしむ。

こんなはずじゃなかったんだけどなぁ。

結局一晩中、風と雨が吹き続け、テントは軋み、雨がしみ込んでくる夜。
テントはもつかな。かなり心配。

けども、本を読みながら、いつの間にか眠ってしまう。