僕の旅はまだまだ続く

ハーレーを中心とした旅の記録

南九州一周の旅~2日目~

5月4日(土)

 

テントサイトは、松林の中で、苔でフワフワだった。
ぐっすり眠り、朝7時に起きる。
朝の定番、サッポロ塩ラーメンを食べる。

キャンプの朝の定番 サッポロ塩ラーメン

天気予報をチェックすると、20分後に雨が降り出すとの予報。昨日まで雨予報はなかったのに。
慌てて撤収に入る。途中、空気が変わるのを感じると、そのあとすぐに雨が降り出した。
なんとか撤収を終え、バイクを動かしたのと、雨が降り出すのがほぼ同時刻だった。
キャンプ場を出たところにあった東屋にとりあえず、雨を避けバイクごと避難する。
なんとか濡れずに済んだが、さあこの後どうしよう。

天気予報では、この後、途中ちょっと止む時間もあるものの、昼までは雨が降り続く予報。
大雨ではないが、このまま走り出せば、すぐにずぶ濡れになるのは間違いない。
雨合羽をもってきていれば、出発できたが、何もない。
やはりいかなる時でも雨対策はしておくべきであったと悔やむが後の祭りである。

さあ、どうしよう。
このまま延泊するか。
ずぶ濡れ覚悟で出発するか。
判断がつかないまま、雨を見ながらぼんやりする。
雨が松林の中に降る。

東屋で雨宿り

東屋でぼんやり雨を眺める。
まあ、最悪、延泊すればいいやということで、椅子を出して、コーヒーを沸かし、本を読み始めた。
10時ごろ、ふと雨が小降りになったのに気づき、空を見上げると、南の空から青空が見えてきた。
天気予報を見ると、雨雲はこれから西から北に向けて動くようで、南の方には雨雲がない。
ならば、南に向かえば、雨に打たれずに走れる。
南から根占のフェリー乗り場に向かうことにする。
南と言えば、昨日おじさんが話してくれた内之浦ロケット発射場がある。そこを見ていこうということで、出発。
南の方は青空が見え、気温も上がってきた。

内之浦近くの海

内之浦ロケット発射場、正確には「JAXA宇宙空間観測所」という名称で、鄙びた漁村の山の上に、巨大なパラボラアンテナがいくつもそびえている。
山を登り、JAXA宇宙空間観測所につく。ゲートで名前と住所を書き、警備員にパスを発行してもらい、施設内に入る。
山全体に、各施設がつくられておりすごく巨大な施設だ。観光客も多い。
パラボラアンテナや発射ランチャー、実物大のロケットのレプリカを見る。

巨大なパラボラアンテナ

M-V型ロケットの実物大地上試験機

発射ランチャー

日本初の人工衛星おおすみ」はここから発射されたということだった。
昨日のおじさんも言っていたが、最近は種子島からばっかり打ち上げるらしく、施設の老朽化は素人でもなんとなく感じるが、面白かった。
息子たちが小さいうちに連れて来るべきだった。
ロマンを感じる。

 

448号線をさらに南下し、大隅半島を横断する形で、南大隅町の根占フェリー乗り場を目指す。
山の新緑の中を走る。みずみずしい緑の木々に強い生命感を感じる。
車はほとんどなく、マイロード状態。
気持ちよく走る。
山を下りて錦江町に入るころは暑いくらいの日差しと青空。錦江町から南大隅に入る。
昨年秋の大雨の時以来の南大隅町である。


フェリー乗り場に行くと、係の人がいて、すいません、満車ですとのこと。
次の便も、今日は風が強いから、バイクの乗船は無理かもしれない。3時まで待ってもらっても、無理かもしれませんと非常に申し訳なさそうに言う。
ここから、垂水まで行ってそこからフェリー乗られてはどうでしょうかとのこと。

ここでも、さあ、どうしようである。
人生は選択の連続であるが、旅もまた選択の連続である。
今日のゴールは、枕崎だ。これは動かない。
ここから垂水まで60分。フェリーが50分。フェリーが着く鹿児島市の谷山港から指宿経由の枕崎で90分か。当初予定していた指宿温泉は時間的に無理。それは、3時の山川行のフェリーにのっても、4時山川着だから温泉は同じく無理。しかし、できれば3時のフェリーに乗り、それまでの間は港でのんびりしたい。しかし、乗れる確証はないし、それは危険。乗れないときはどうするか。それかキャンプ場を探すか。面倒だ。
ならば、あわただしくはなるが、垂水まで行き、そこからフェリーに乗ろうという結論に至る。

まあ、天気がいいのが救いで、南大隅町滞在10分ほどで離れ、垂水を目指す。
車も多くはなく、快適に走る。

大隅半島から対岸の薩摩半島を望む

フェリー乗り場につき、乗船手続きをすると、そのまま船内に誘導され、すぐに出発。
時間的にちょうどだった。

フェリーに乗船

フェリーが港を離れると、急に腹が減ってきた。
そこで、ネットでおいしいと評判の船内のうどん屋「南海うどん」で食べることに。かけうどん460円。

船内でたべるかけうどん

おいしいかと言われればおいしいが、ネットに書き込みがあるようなほどおおげさではないが、バタバタして乗船して、船内でホッとして食べるうどんはやはりおいしいし、ほんのり旅情を感じる。

海から眺める桜島

桜島を右手に眺めながら、50分の乗船時間はあっという間に終わり、薩摩半島上陸。
鹿児島市内はさすがに車の量も多く、また日差しも強い。
指宿を目指し南下する。
指宿までは単線なので、渋滞を心配したが、全然そんなことはなく、スムーズに走れた。
池田湖を回り、国道226号で枕崎を目指す。
開聞岳が大きく眼前にそびえる。
いつ見ても美しい山だ。

今日は白波の工場から芋焼酎の匂いがしない。
工場もゴールデンウィークで休みなのかもしれない。

枕崎の町が見えてきた

枕崎に入ると、やはり魚の匂いがする。
鰹節の匂いか。


火の神キャンプ場着。
やはり人が多い。
入口には、新興宗教の勧誘のグループが4人いて、ソロでキャンプ場に入る人に声をかけている。
ゴールデンウィークにソロでキャンプに来るような人間は、きっと人生に迷っているに違いないという判断なのだろう。
ただ、僕に対しては、「熊本からですか。お疲れ様です」だけしか言ってくれなかった。
それはそれで、なんとなく寂しい。

キャンプ場はテントがびっしりだったが、なんとか空きスペースがあり張ることができた。
隣はちょっと近くて申し訳ないが、小川テントを使う渋いソロキャンパーらしい。

今日の宿泊地は断崖絶壁の上 波しぶきがかかる

テントを張り買い出しに行く。
スーパーで、「かつおの腹皮」という人吉のスーパーでは見ないような部位の切り身があった」
生である。こういう地元の食材こそがごちそうであり、さっそく購入。

テントに戻るとなんと、僕のテントの後ろのスペースが少し空ていたのだが、そこにフィリピーナ(多分)とおぼしき10人ぐらいのグループが巨大なテントを張り、焚火の準備をしている。
えー、火の粉が混んでテントに穴が開いたら嫌だなあと思い、テントを少し動かそうとすると、フィリピーナたちが、「ああ、この人テント動かすよ。そしたら、少しここ空くから、そこまで私たちのスペースね ここにテーブル置くよ」(多分)と、僕が移動するのを待ち構えている。
その時、はっと思った。これが日本と世界のずれか。僕はテントを動かすことで、火の粉に気を付けてねというメッセージを暗に送ったつもりであった。

しかし、世界基準では、そんなことは通じない。自分たちが使える場所が広がった。バンザイねとなるのだ。(多分)

そこで、移動するのを思いとどまり、そのままテントに戻った。フィリピーナの残念そうな顔は見えなかったが、多分そうでなかったかもしれない。

彼女たちは、その後、すぐに僕のテントと彼女らのテントのわずかな隙間にテープルを設置した。
どっちにしろ設置するつもりだったのだ。

すごく風が強く、他のキャンパーのテントはバタバタ風に煽られていた。寒いくらいだった。
いつもは、陽がくれる前、テントの前に椅子を出してビールを飲むのだが、寒くて、テントの中から外を眺め、ビールを飲んだ。

他のキャンパー、取り立てファミリーキャンパーたちは、本当に焚火が好きだ。
こんな風の強い日も、寒い日も焚火をしている。

僕はコンロで、かつおの腹皮を焼いて、ビールを飲むぐらい。
ただ、寒くて、テントの前室部分でかつおを焼いたので、テントの中まで魚臭くなった。
かつおの腹皮はぷりぷりしていてとてもおいしかったけど。

かつおの腹皮を焼く

後ろのフィリピーナたちは、焚火は断念したみたいで、ひたすらおしゃべりに興じてる。


僕は、テントから出て、椅子に深く座り、ウイスキーを飲みながらヘッドフォンで、トミーフラナガンを聴く。
枕崎の町の明かりと真っ暗な海を眺めながら聴く、ヴェルヴェットムーンは控えめに言って最高である。