5月3日(金)
GW後半。雲が厚く、暗い朝。
寒くはないが、曇天。
天気予報では、これから数日雨マークはない。
今日も午後からは日差しも出るという予報。
前回は雨が降らなかったのに、雨対策マックスの大きな荷物で、せっかくのCCバーに荷物を括り付けたポジションが美しくなかった。
美しくスマートな旅仕様のハーレーを目指して製作したCCバーだったのに、それが活かされなかった。
そこで、今回は、思いきって雨対策グッズをすべておいていくことにする。
それでも荷物は多いが、今回はこれで行く。
予定通り、8時に出発。
ガソリンを満タンにし、加久藤トンネルを越える。
霧島連峰も今日は厚い雲で、かすかにそのシルエットが見えるだけである。
山を下り、小林市方面に向かう。
風が冷たく、革ジャンのジッパーを首元まで上げる。
ゴールデンウィークの後半、観光地でもない町の朝の国道には車も少ない。
自分のペースで気持ちよく走る。
宮崎市に入るあたりで雲が薄くなり日差しが見え始めた。
街路樹のヤシの木越しに見る青空に、南国宮崎を感じる。
左手に青島の海を眺めながら、日南を目指す。
残念ながら、青空は長くは続かず、堀切峠を越える頃はまたも曇り空。
ただ、やはり有名な堀切峠はさすがに車もバイクも多く、レストハウスは満車。立ち寄らず通過する。
青空ならば、さぞかし素晴らしい風景が見れたのにと思う。
曇り空では、海も空も灰色で残念。
対向車線を走るバイクの多くが手をあげたり、会釈をしたりして挨拶をしてくれる。
こちらも同じように返す。
鵜戸神宮に立ち寄る。すごく観光客が多い。
前回来たのは、多分20年位前ではないか。
前回の記憶がほとんどない。
いろんなところに行ったり、見たりしても、ほとんど忘れてしまう。
難儀なことであるが、そのおかげで今回のようにすごく新鮮な気分で再訪できるのはメリットとして捉えたい。
鵜戸神宮の本殿は断崖のがけ下の岩屋の中にある。よくこんな場所にと思う。
なぜこんな海岸の断崖の中に、神社を建てたのだろう。
賽銭を入れ、今回の旅の安全を祈願する。
運玉に挑戦。土くれの球を5こ200円で購入。
男は左手、女は右手、とにかく聞き手と逆の手で、眼下にある断崖のカメみたいな岩の窪みに、土くれの球を入れることができれば願いが叶うというものだ。
しめ縄が張ってあり、その中に入れがラッキー、窪みの中の水たまりに入るとさらにラッキーらしい。
うまい商売だなとは思うが、それは言うまい。野暮というものである。
左手で5球投げる。
結果から言えば、5球中3球がしめ縄内に入って、そのうちの1球は、窪みの中の水たまりに入って、大きくチャポンと音がし、周りからどよめきの声が上がった。
ちょっとよい気持ち。
野球で言えば、5打席でヒット2本、ホームラン1本、打率6割の猛打賞である。
日南市で昼食。
チキン南蛮の有名な「とんかつ大晃」という店に行く。
客が多く、ずいぶん待ったが、やはりおいしかった。フワフワのチキンで、甘さスッキリのソース。宮崎はさすがに、どこもチキン南蛮がおいしい。
太平洋を左手に眺めながら、南下する。
濃い灰色の曇天とくすんだ水色の海、晴れていればさぞかしきれいな風景だろうと思う。
いくつか小さな港を過ぎ、南郷町に入る。
大学時代の友人がこの町の出身だった。
小さな町だ。
ただ、西武ライオンズがここでキャンプするのか、駅が西武カラーで、そのまんま西武ライオンズである。
これは必見である。
彼は今、何をしているのだろう。
もうずいぶん会っていない。
そんなことを考えながら、彼が過ごした町を通り、都井の岬を目指す。
海が見える。
友人が、中学生の頃から、スクール水着でサーフィンをしていたと言っていたのを思い出す。
人吉の山育ちからしたら、イメージできない環境である。
海岸線沿いのくねくねしたアップダウンの激しい道をひたすら走る。
途中、恋の浦というところで、サーフィンをする人たちをしばらく眺めた。
素人の自分から見ても、気持ちの良い大きな波が立ち、たくさんのサーファーが波にもまれていた。
有名なスポットなのだろう。
彼らは、何分もかかって、ひたすらボードを漕ぎ、波の側まで行き、波に乗って浜近くまで戻り、また、ひたすらボードを漕ぎ、波の側に行くということを繰り返していた。
すごくきつそうだけど、楽しいんだろうなとは思う。
都井岬に到着。
岬に入る入口で維持管理費として100円払う。
岬を走ると、山の斜面に所々草を食んでいる馬が見える。
都井岬観光交流館パカラパカラの前でバイクを停める。
観光客も多い。
馬が一頭、すぐそばで草を食んでいる。
馬の糞があちこち落ちてる。
説明板を読むと。前回行った秋月城の秋月氏が、こちらに移封されてから、軍馬の飼育で始めたのが、都井岬の馬の始まりということだった。
みんなが丘に登ってるので、つられて登ってみたが、馬はいなくて、人と馬の糞ばかりで、そうそうに丘を下りる。
串間市でガソリンを入れ、国道448号線を志布志市に向け入る。
午後4時を過ぎ、なんとなく夕方の雰囲気。
途中のパーキングスペースでバイクを停め、コーヒーを淹れていると、散歩中のおじいさんが話しかけてきた。
どこからかと行くので、熊本からと答えると、自分も熊本には行ったことがある。修学旅行で行った。水前寺公園がとてもよかったと話してくれた。
多分60年以上前の話である。
さらに、ここは志布志で鹿児島県だが、すぐそこは串間は宮崎で、すぐそばではあるが、言葉が全然違うという話や内之浦のロケット発射場から種田山頭火の話までいろいろ話してくれた。
20分は話していただろう。コーヒーがすっかり冷めていた。
おじいさんと別れ、少し走ると、さっきおじいさんとの話に出た種田山頭火の句碑があった。
バイクを停め、句碑を読む。
「ここまで来て この木にもたれる」
なんか不識議な縁を感じる。
志布志市を越え、大崎町に入る。
くにの松原キャンプ場到着。午後5時。