僕の旅はまだまだ続く

ハーレーを中心とした旅の記録

天草世界遺産を学ぶ旅~1日目~

今日のルート

8月3日(木)

9:30出発。曇り。
どんよりした空。早くも雨がパラパラ。
しかし、予定通りに出発。人吉ICから高速にのる。

8月にしては、暗い山を眺めながら北上。
八代IC前、最後のトンネルを抜け、八代平野に出た瞬間、真っ青な青空。
入道雲と強い日差し。
夏の朝の空である。

もう、エーである。山を越えただけで、こんな違う?
台風6号の影響もまだ山の影響か、ここまでは来ていないようである。
何か悔しいが、夏の晴れた青空は、それだけで気分があがる。よしとする。

氷川町のコンビニで、虫よけスプレーを購入し、今日、宿泊予定のキャンプ場の管理者である苓北町の観光案内書に電話をして予約をする。
夏休み期間中だから、もしかして満杯かと思ったが、大丈夫らしい。

さらに国道3号線を北上し、宇土から国道57号線に入り、三角を目指す。
右手には、青空の下、穏やかな不知火海が見える。
その奥には、島原の町と普賢岳が見える。
すぐ、そこのような気がする。泳げば渡れそうなくらいである。

宇土御輿来海岸付近で 向いは島原半島

三角西港でしばし休憩。
ベンチに腰掛け、海を眺めながら、今日の昼飯の店をスマホで探す。
多角的に考察した結果、ここから割と近い、「吉珍保斗」という定食屋に決定。
「吉珍保斗」はキッチンポットと読むらしい。
横浜銀蠅とか、あの時代リスペクトのお店かと思いながら、店内に入り、チキンカツとエビチリのAセットを注文したが、すごくおいしい。
量も十分で、チキンカツもふわふわ、それに大きなエビが入ったエビチリもおいしい。植木の「大盛食堂」に匹敵するのではなないか。
当たりである。

腹いっぱいになったところで、天草を西に向け出発。
太陽がギラギラして痛いぐらい暑いが、海の広い視界と青と白のコントラストがさすが天草である。
風が心地よい。
夏の中を走っているんだと感じる。
道も車も少なく、マイロード状態。
エンジン音も軽やか。

真横に島原半島を望む 南島原市付近か

本渡市には、最近できたという大きな橋のおかげで、混むこともなく、一気に町を通過し、五和町を通り、苓北町に入る。

苓北町のコンビニで、ミルクックを購入。
氷の冷たさでクールダウンしつつ、甘さが日焼けした体に染み渡る。
がりがり君もいいが、九州の夏は、やはりミルクックも外せない。

今日宿泊予定の白岩崎キャンプ場はすぐ近くのようで、まだ15:00ぐらいだったが、とりあえずもう今日は行くところもないので、早めに観光案内所に行き、1000円を払う。

係の人からは、今日の予約はあなただけなので、お好きなところにテントを張ってくださいとのことだった。
8月夏休みに、逆に心配になる。もうキャンプブームは終了したのか。

地図を頼りに白岩崎キャンプ場に行く。
キャンプ場は大きくはないものの、きれいに清掃された丁寧なキャンプ場という印象。

午後の太陽の日差しがさらに凶暴さを帯びてきたので、芝生のテントサイトはやめ、コンクリート造りの大きな東屋の下にテントを張る。
東屋からは海も見える。

誰もいないキャンプ場 東屋の下にテントを張る 

東屋の下は日陰で涼しい。風も気持ちよく通る。
苓北町は、一時期、何度か来たことがあり、その時に、富岡城にも行ったし、あの有名なちゃんぽん屋さんにも行ったし、もうのんびりキャンプ場で夕日を待つことにする。

椅子を出して、片岡義男の「ターザンに教えてもらった」という単行本を読む。
ずいぶん昔に買った本だ。アメリカを感じるエッセイだ。もうずっと昔、そうした片岡義男の書くアメリカにすごく憧れた時期があった。

多分、オートバイに憧れたのにも、ハーレーに憧れたのも、片岡義男の影響は少なからずあるのかと思う。
あの時代は、今みたいにインターネットもSNSもなく、手に入る情報も今よりずっと少なかったが、その分、手に入れた情報から受ける影響は大きかったような気がする。

九州の西の端の島の西海岸のキャンプ場で、そんな片岡義男のエッセイを読みながら、あの頃、好きだったもの、憧れたもの、信じていたものなんかを思い出しながら、いつの間にかウトウト寝てしまった。

目を覚ましたのは、18:00前で、ずいぶん日が西に傾いていたが、まだ明るい。
椅子に座って海を眺める。
今日は、いい夕日が見えそうだ。

バイクに乗って、食料の買い出しに行く。次第に暮れかけた海沿いの道を走り、地元のスーパーに行ったが、不思議なことに何か食指が伸びず、さっきのミルクックをかったコンビニで、カップ焼きそばとおにぎり、袋ラーメン1つ、そして、ビールとウイスキーを購入。

夕暮れの光が、町の全てを黄金色に染める。この町を走る国道は、サンセットロードと言われるぐらい、夕暮れが有名なところでもあり、海も濃い黄金色に染まり、キラキラしている。
そんな夕暮れの中、暖かい空気の中をバイクで走ると、何か遠く昔に体験した夏の夕暮れを思い出せるような気がした。

キャンプ場に戻り、浜辺に降りる階段を、椅子とビールもって下り、東シナ海に沈む絵画みたいな夕暮れを、ビールを飲みながら、ゆっくり眺める。

周りには誰もいない。
このサンセットは、僕だけでのサンセットである。素晴らしい。

印象派の絵画のような、海に沈む夕日を、遠く西の海に沈むまでじっと眺めていた。
陽が沈むと、空がピンク色になった。

東シナ海に沈む夏の夕陽

東屋に戻り、ヘッドランプを付け、村上春樹の「雨天炎天」を読みながら、焼きそばとおにぎりを食べ、ビールを飲む。
村上春樹の「雨天炎天」も僕の旅の一冊だ。何度も同行してもらっている。
同じところを何度も読む。
今回は、ギリシアの旅だ。
話の筋はすっかりわかっているのだが、旅先で、ヘッドライトの光ので読むと、
その度に、違った印象を受ける。

ウイスキーを飲む。
思ったよりも気温が下がらず、暑い。うとうとする。

夜中、何台かの車がキャンプ場にグワーと大きな音を立てながら入ってきた。
エー、今頃、うるさいなぁ、地元のヤンキーだったらいやだなぁと思いつつも、眠気には勝てず、そのまま寝てしまった。